教育/研修でのノーコード開発ツール利用に関する調査

はじめに

2021年2月初め、enebularユーザーのみなさまを対象に「教育研修でのノーコード開発ツールの利用に関する調査」を行いました。

この調査の目的は、教育/研修の場においてさまざまなノーコード ツール、ローコード ツールの活用が増えている中で、

  • ノーコード ツールの利用状況がどのようなものか
  • 教育/研修の現場でのニーズにはどのようなものがあるのか

について、enebularユーザーのみなさまのご意見を伺い、enebularの改善のヒントに役立てようというものです。

今回は指導的立場で回答の方による結果を考察します。

 

多くのユーザーが日常的に利用する

今回の調査では、ドラッグ&ドロップなどのマウスやタッチパネル操作でプログラミングやロジックを組み立てられるツールを、コーディングが少ないローコード、ほとんどコーディングをしないノーコードなど、それらすべて含めて「ノーコード ツール」として扱いました。

その上で、「毎日使う(23.1%)」と「週1回以上使う(46.2%)」を合わせて、約70%の方々が日常的にノーコード ツールを利用していることが分かりました。もともとノーコードに関心の高い対象による調査の影響も恐らくありますが、教育業務の中でノーコード ツールが利用され始めているという背景もあるでしょう。

ノーコード ツールを使う理由

なぜここまでノーコード ツールが使われるのか、その理由として、

  • 教材を作りやすい(46.1%)
  • 自分でも使いこなせる(38.4%)
  • 研修や授業以外でも使ってみたい(38.4%)

などが利用のメリットとして選択されています。日頃の教材開発で使いやすいものや、使いこなせるツールを探していることが背景にあると推測します。また、教える場面でもさまざまな使い方のアイディアが生まれやすいのもノーコードの魅力でしょう。

教材開発で重要なこと

「作りやすい」「使いやすい」という「ease of use」以外にも教材開発では重要視されていることがあります。

今回の調査では、

  1. 多くの受講生にも使用できる(76.9%)
  2. 適切な難易度が設定できる(69.2%)
  3. 教材自体の拡張性が高い(53.8%)

といった項目が回答のトップ3となっており、これらに重きが置かれていることが分かります。

enebularのベースとなっているオープンソースのNode-REDは、もともと少ないコーディングで開発可能なビジュアル開発ツールであり、enebularではDiscover Asseets機能を使って完成した、あるいは途中まで作られたフローをインポートさせるなどすれば、難易度もコントロールできます。

また、Node-RED同様に3rdパーティーのノードをインストールすることで、拡張性を高めることも可能です。

ノーコード ツールを使うことの懸念点

いいことずくしと思われるノーコード ツールですが、懸念点もあります。回答の約7割の方が、

  • 複雑なことができない(69.2%

と思っています。

ノーコードで簡単にロジックを組むことができますが、逆にこれが足かせになる場合も。デザイン パターンのサンプルなどを数多く用意する必要があると実感しました。また、

  • 利用することが所属組織内で理解されにくい(38.4%)

という回答が次に多く、教育業界へのアピールのほか、現場で取り組まれている方同士の連携などが求められているのではないかと感じました。

enebularについてのご意見

このほか、enebularについて自由回答で頂いたご意見も抜粋してお伝えします。

enebular は<中略>事前準備の環境構築が楽でいいですね。プログラミング教育でも、プログラミングの事前準備の段階でつまずくことが多いので、こういう環境はありがたいです。

教育の場に限らず、この特徴をメリットとして挙げるご意見を数多く頂きます。省力化によって、やりたいことにフォーカスできるというのが一番の魅力であると自負します。

チュートリアルが今一つ分かりにくく、楽に使えるわけではない。導入の敷居を低くすることが普及の第一歩でしょうか。

ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ドキュメントをはじめとした各種資料を充実することにより、より始めやすく、そして拡張性を高めて、複雑なこともできるようにユーザーのみなさまをご支援することが今後の課題であると認識しています。

謝辞

本ブログでは、教育研修の現場で指導者的な立場の方13名からの回答を元に記事を作成しました。このほかに、受講生の立場、自学習や研究でご利用される立場の方からもご回答を頂いています。ご協力のみなさまに御礼申し上げます。ありがとうございました。

今後について

今後も教育をテーマとしてディスカッションを交えたイベントを開催しますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

引き続き、よろしくお願いいたします!