ガチャガチャマシンのIoT化で見える世界【後半】

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外部ライター ワンフットシーバス 田中正吾です。今回は、ウフル社内で行われたハッカソンで最優秀賞を獲得したガチャガチャマシンのIoT化について後半をお伝えします。

スライドとインタビュー

チームを代表して原田さんにインタビューさせていただきました。

原田さんは先日のenebular developer Meetup Vol.1 でも詳細を登壇されました。

こちらのスライドでも雰囲気が伝わると思います。

インタビュー

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Q. 社内ハッカソン、ゴールド賞受賞おめでとうございます。発表のときは反響はいかがでしたか?

原田さん: はい、いろいろな反響をいただけました。実は、今回私たちチームからお願いして、社内の皆さんに使ってもらうタイミングを作っていただいて、生の声を聞けてとても実りがあるものでした。

実際に使っていただくと、enebularをはじめとした実感の湧きにくい構造も伝わりやすいですし、スライドで伝える情報も大事ですが、やはり現場で動くと直接楽しんいる雰囲気が見えますし、動いた上でのその先のアイデアへも話が発展しやすかったです。
そして、なにより操作具合がリアルですね。チームメンバーが操作すると優しく丁寧にさわってしまいますが、そういった前提がないと、本当に使うユーザーのような操作をしていただけました。
すばやくガチャガチャを回すとセンサーの認識やサーボの処理が追いつかず二重に出てしまうケースなど、本番設置したら必ず起こりそうなことを目の当たりにでき改善点が見えました。

Q. 苦労したポイントをお伺いしたいです!

原田さん: まずこの記事でも挙げられている赤外線センサー部分の改良がこだわったポイントです。

最初はスライドにあるように、赤外線センサーをうまく認識させられなくて悩んでいたところ、社内にはハードウェアのプロの方がいるので相談したら、ズバッと黒く塗るアプローチをアドバイスいただけました。チームメンバーはそれほどハードウェアに強くないだけに社内に的確にアドバイスをいただけたのはありがたいことでした。

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※スライド 37 ページより

ですが、この実装、実はさらにその先がありました。マジックで黒く塗ることもいいのですが、より光を遮る黒い紙のほうが、さらに効果的なことがわかり、追加で実装しました。
しかし、ここが現場の難しさで、紙にすることで排出口の摩擦が強くなってしまいガチャガチャが引っかかりやすくなってしまいました。ここでチームリーダーの漫画をヒントにした発想が助けになりました。

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そのコマは遊具の落ち方を大掛かりに変えるためにビルごと傾けるシーン。図のように発表のときにガチャガチャ自体を台座を挟んで少し傾けるという物理で攻めるアイデアに生かされました。こういった悩みをチームプレーで切り抜けたときは、チームがとても盛り上がりました。

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そして、ガチャガチャのロック解除を担当するGrove サーボモータも苦労した点がありました。GrovePiを使用したRaspberry Piではサーボに対して電力が足らず、電力供給を追加する必要がありました。

ここも社内のハードウェアのプロの方からアドバイスをいただき、100円ショップで購入した充電用USBケーブルを自力で改造し、サーボに追加給電する仕組みを頑張りました。

Q. こだわったポイントもお伺いしたいです!

原田さん: こだわったポイントも苦労した点と同じく色々ありますが、一つ挙げるならNode-REDで作っていた処理を独自ノードにしたところです。

実装当初は動作させることが大事だったので、地道にinjectノードとexecノードで定期的にNFCチェックしました。
ただ実装が進んでくると、どうしてもチェック時間が短縮しにくくチェック動作がぎこちないのが足かせになりました。

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そこで、NFCのノードを自作して動作がとてもスムーズにすることができました。というのも、独自ノードの場合、当初作った処理をノード内部でNode.jsベースで適切にチェックできたためです。

実装が進んでいくと、やはりこういった動作のスムーズさがこだわりたかったので、うまく実装できてよかったです。

原田さん、インタビューに答えていただきありがとうございました!

おわりに

ということで、社内ハッカソンで受賞されたガチャガチャマシンについて、田中の目線を交えつつ、チームメンバーの原田さんのインタビューととともにお伝えしました。

身近なガチャガチャマシンもIoT化するといろいろな可能性を感じられましたね。

ガチャガチャマシンというのは昔からある無人販売のモデルですから、IoTの文脈でデータを収集し活用することで、在庫把握や補充につながるというのは、他の無人販売のケースにも適用しやすいと感じました。

また、ガチャガチャはボールの中に様々な商品が仕込めます。となると、在庫把握や補充だけでなく、たくさんのガチャガチャマシンがあるエリアで、よく在庫がなくなる人気の商品や、はたまた、昼売れる夜売れるといった時間や曜日による条件での売れる傾向の違いといった、WEBのアクセス解析で行われるような複雑な分析を絡めていっても、きっと広がりがあるでしょう。

そしてその先にある予測。

たとえば、人気番組の放映後に、そのキャラクターのガチャガチャが回される頻度がわかれば予測した上で事前に多めに補充といったことも可能になるでしょう。
ひょっとすると、投入金額を期間限定で変更して、割引率による売れ行きの傾向データが蓄積できたり、適度に効果な値付けをするほうが売れ行きが良かったりといった、スーパーで行うような高度な在庫分析にもつながりそうですね。

うーん、いろいろ伺ってみてたくさんのエッセンスがあり、ガチャガチャマシンのIoT化で見える世界は広いと感じました!