製造機器の稼働状態をクラウド上で可視化する

ニュースリリースがありました通り、ウフルはIAFに入会し正会員となりました。

中小規模の製造業では、生産効率の向上や人員不足を補うために生産管理や稼働状況の監視をデジタル化することが求められていますが、導入コストやシステムの複雑さ等の理由から、必要でもなかなか導入できない状況が続いています。

ウフルでは、クラウド~ゲートウェイの導入が簡易に行えるenebularを活用していただこうと活動を進めています。低コスト重視のDIY的な導入から段階的に検討していただけるようにブログで例を紹介していきます。

製造業では、ISO22400で業務の成果を計測する指標が示されています。まずは、IAFのプロダクトであるia-cloudとenebularを組み合わせて、製造機器の稼働状態をクラウド上で可視化するサンプルを作成してみましたので紹介します。

製造機器自体には手を加えず、後付けでセンサーを追加して実現できるように構成しています。

サンプルの構成

製造機器の稼働状態を検出し、クラウドにその情報をゲートウェイ経由で登録し、端末でその状況を確認できるシステムです。

製造機器の稼働状態をセンサーで検出し、ゲートウェイにはRaspberryPiを使用します。

クラウドはia-cloudとenebular、Herokuを利用して構成しています。

端末はブラウザでWebページが表示できるものであればパソコンでもタブレット、スマートフォンでも良いです。

製造機器の稼働状態をセンサーで取得

製造機器の稼働状態は人が視認できるようにシグナルタワーというランプで状態が示されています。
※パトライト、シグナル・タワーは、株式会社パトライトの登録商標です。


製造機器が正常な状態が3段目の緑、警告が出ている場合は2段目の黄、異常が出ている場合は1段目の赤が点灯する

そのシグナルタワーのランプの光をRaspberryPiに接続された光センサーで検知して、フローで処理します。


DIY的に光センサーを取り付けたシグナルタワー

光センサーはGrove 光センサ v1.2というセンサーを3つ使用します。このセンサーは光の強さが電圧の大小で出力されるので、RaspberryPiにGrovePiを搭載し、そのアナログ入力に接続します。


フローの開発

ゲートウェイ側のフローはenebular editorで開発を行います。enebular editorはNode-REDのフローを開発するデスクトップアプリケーションです。enebular上でもフローの開発は行えますが、センサー等のデバイスに依存するノードは扱えませんので、Raspberry Piにenebular editorをインストールして開発しました。enebular editorで開発したフローはenebular上のプロジェクトに保存されます。
開発が終わった後はenebular-agentをインストールし、開発したフローをデプロイすれば永続的に安定した動作環境となります。

クラウド側のフローはenebularで開発します。こちらは開発が終わったらHerokuにデプロイすれば永続的に動作させることができます。

ゲートウェイ側のフロー

アナログ入力の値を閾値をもとにON/OFFで取得できるノードからia-cloud用のデータに変換し、ia-cloudへ登録します。
UI上でランプの状態を確認できるようにランプ表示を行うノードを利用しています。
ia-cloud用のデータに変換するノードとia-cloudへ登録するノード、ランプ表示を行うノードはia-cloudから提供されているノードを使用しています。

クラウド側のフロー

クラウド側のフローではia-cloudに登録したデータをDashboard上のUIから期間を指定して読出し、稼働状態や異常の発生有無を可視化しています。
ia-cloudからゲートウェイが登録したデータを読み込むノード、UI上のノードはia-cloudから提供されているノードを使用しています。

動作確認

フローエディタからDashboardにアクセスし、日時の範囲を入力後、更新ボタンを押します。そうすると製造機器の稼働状態と異常が発生した時刻、異常が解除された時刻が表示されることが確認できました。

まとめ

今回は、enebularとia-cloudを連携させて、製造機器の稼働状態を可視化するシステムの簡単な開発方法を紹介しました。

まずはコストと手間をかけずにシステムを構築できました。動きを確認しながら機能を見直したり、追加することが簡単にできますので、まずはファーストステップとしてぜひ試してみてください。実際の製造現場では、製造機器の稼働状態だけではなく、製造しているものや作業者の管理も必要とされています。これらのデータ化、可視化の方法も今後のブログで紹介していく予定です。

開発したフローはDiscoverで公開してます。

ia-cloudは無償トライアルを実施中です。ご利用されたい方は、ウフルまでお問い合わせください。